怖い夢
デイケアのときいつも
聖書のお話をしてくれる男の子。
すごく怖い顔をしている日があった。
気をつけて、
この辺の気圧がすごく高まってる、
爆発するかもしれない、
動かないで、
と。
怖い夢をみているみたいだと思った。
でも彼には現実。
なぜ彼だけ
存在しない危険への恐怖と
闘わなければならないんだろう。
どうしたら
そんなものはないんだと
安心させてあげられるんだろう。
人はなぜときどき
怖れる必要のない恐怖に
囚われてしまうのだろう。
醒めることができない
悪い夢、
それとも
目が醒めても
また悪い夢なのか。
ここは
平凡で退屈かもしれないけれど
せめて
ここへ目を醒ましてきてくれれば
もっと楽なのに。